弥勒菩薩(みろくぼさつ)(京都・広隆寺)

京都は太秦の広隆寺にある弥勒菩薩。国宝の第1号に指定されたのがこの仏像です。

母 の遺品を整理していたら、箪笥の上の引き出しから、大学の卒業証書やら成績表やら(ひぇ〜)と一緒にこれが出て来ました。仏像の絵の原画は全て人に差し上 げてしまい、自分の手元にはコピーしか残っておらず、しかもこの絵のコピーは幾ら探しても出て来なかったので諦めていたら、実家に残っていたのでした。
確かこれが仏像を描いた最初の絵。0.1mm位の細いマジックで描いてあるので、近くで見ると線に表情が無くて面白みがありません・・・まあ20年以上前の絵と言う事で大目に見て・・・ってそんな事を自分で言ってどうする。

その昔、余りの美しさに想い余った学生が抱きついて、頬に触れている右手の指を折ってしまったと言うのは有名なお話。綺麗に修復されているので、アップの写真で見ても疵痕は全く判りませんが・・・。
私が大学生時代に拝観に訪れた時は、随分間近で見る事が出来たので、そう言う事件もさもありなん、と言う感じでしたが、展示方法が変わってからはかなり遠くなってしまい、表情なども判り辛くなってしまって残念です。

そう言えば東大寺戒壇院の四天王も、昔はあの戒壇の上まで上がる事が許されていて、四天王は中心の塔に向かって配置されていたので、話しかければ答えてくれそうな程、すぐ傍でお顔を拝見する事が出来ました。
その後、戒律を授けると言う厳粛な儀式の場である戒壇に、観光客が気軽に上がるのは如何なものか、とか言う理由で登壇禁止となり、
四天王も外側に向けて置かれるようになり(これで、中のものを外の敵から護る、と言う本来の形に戻ったわけですが)、今では拝観に伺っても下から仰ぎ見るだけになってしまって物凄く淋しいです。文化財保護という立場からすれば、そうした方がよいのは判ってはいるのですが・・・。
大仏殿や二月堂・三月堂と違って殆ど訪れる人も無く、風の音と鳥の声だけが聞こえる中で、真ん中の塔の近くに座り込んで、気の済むまでボーっとしていたのが懐かしいです。

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