滝夜叉姫(平将門の娘)

悪路王様のキリ番リクエスト。人物は全て水彩絵の具で手彩色。

CGで滝夜叉の顔を複製して重ね、照明効果と炎を追加。今回サイズを大きくする以前のものは炎の解像度が低かったのですが、再加工により解像度が上がって綺麗になりました。


江戸時代の『前太平記』や、「前太平記物」の近世文芸に、滝夜叉平将門の娘として登場します。将門の死後、長男・良門(よしかど)は、亡父の旧墟・将門山に立て籠もって源家への復讐を企てますが、滝夜叉は弟・良門を助け、生来の美貌と肉芝仙から授かった蝦蟇の妖術を駆使して活躍します。

滝夜叉のモデルは『元亨釈書』に出て来る如蔵尼(にょぞうに)という女性ではないかという説があります。同書では、将門の死後、彼の三女が奥州に逃れ、慧日寺(福島県いわき市の恵日寺(えにちじ))の傍らに庵を結んでいたが、大病で危うい処を地蔵菩薩に救われて出家し、如蔵尼と名乗ったとされています。

浄瑠璃『関八州繋馬』(作・近松門左衛門、享保9(1724))には、将門の娘・小蝶というのが出ていますが、読本『善知鳥安方忠義伝(うとうやすかたちゅうぎでん)』(作・山東京伝、文化4(1807))が滝夜叉という名の初出です。歌舞伎『善知鳥相馬旧殿安方忠義伝(よにとうそうまのふるごしょ)』は、その読本を脚色したもの。この読本と歌舞伎によって、「前太平記物」の登場人物としての滝夜叉の性格が確立します。

他に滝夜叉の登場するものには、次のような作品があります。

歌舞伎『英皎(はなのつき)うとう一諷(ひとふし)』(作・三世桜田治助)

歌舞伎『相馬礼音幾久月(そうままつりおとにきくつき)』(作・河竹黙阿弥)


★参考文献★

『日本架空伝承人名事典』平凡社 1986 ¥5800

★平将門・滝夜叉関連のサイト★

将門滝夜叉については稲村香様のサイトに詳しい解説がされていますので、是非御覧下さい。

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