積乱雲

薄紫や陽の色に染まる雲塊の美しさ。
積乱雲を見る度に、私はこれに逢いたくて、
また今年も夏まで生き延びて来たのだと言う想いがする。

('040630撮影

 

('040707撮影)


 

 

上の4枚は連続写真。繋げるとこんな感じ。↓

よく見ると、連なる積乱雲の底の中程に、
陽の色に染まった遙か向こうのもう一つの積乱雲が見える。

 

山育ちの私は、「積乱雲の底」と言うものを、
子供の頃、見た事が無かった。
実家を離れて平野に住んで、初めて知った。
それでもその底の向こうにも積乱雲があるなどと言う光景は、
想像すらした事が無かった。
彼方に立ち上がる二つ目の積乱雲に気付いた瞬間
(とき)
その距離感に私は狼狽した。

 

――――― 蒼穹(そうきゅう)とは、かくも広きものであったか。

 

まさに豁然(かつぜん)(*注 )として、
ただ其処にいる己
(おのれ)が切なかった。

('040708撮影)


(さき)に古人(こじん)を見ず
(のち)に来者(らいしゃ)を見ず
天地の悠々たるを念
(おも)
(ひと)り蒼然(そうぜん)として涕(なみだ)(くだ)

(過ぎ去りし人も
 やがて来たるであろう人も
 私には見えない
 この悠久の天と地の間
(はざま)
 独り立ち尽くす私の
 何と儚
(はかな)い存在である事か
 引き裂かれそうな哀しみに
 流れ落ちる涙は
 留まる事を知らない)

          幽州台に登る歌/陳 子昴(ちん すごう)

            (管理人意訳)


(*注)豁然(かつぜん)・・・@景色が広々と開ける様。A急に悟る様。ここでは両方の意味で使っています。「そんなに広いのだと言う事が、突然解ってしまったのだ」と言う様な。

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