姜維(きょうい)
「・・・何故だ!!」
三国志に出てくる蜀の稀代の名軍師・諸葛亮孔明の晩年の愛弟子。 劇場版アニメ映画「三国志」のビデオ全3巻を観てビックリしたんですが、3巻目でいきなり架空のキャラ「関羽の娘」が出てきて大活躍するのですよ。
・・・理由はともかく、出て来ちゃったものはしょうがないので諦めるとして、許せないのが、姜維が全く出て来なかった事! ・・・と言う訳で、この落描き、「何故私が出ていないんだああ!!」と憤怒の涙を流しているところです。 以下は、ちょっと長いですが、昔書いた文章を纏めたもの。 |
私が三国志にはまったのは、横山光輝原作のアニメと漫画がきっかけでしたが、横山三国志では姜維の最期については詳しく描かれていませんでした。 他にも色々三国志関係の本を読んだのですが、孔明の愛弟子にもかかわらず、姜維って殆ど注目されていないのです。孔明が死んじゃったら一足飛びで蜀が滅亡しちゃって、それで三国志はお終い、みたいな感じで。 もし柴田錬三郎の「英雄・生きるべきか死すべきか」を読まなかったら、こんなにも姜維にはまらないまま、私の三国志歴は終わっていたと思います。 柴錬三国志の姜維の悲愴で鮮烈な最期は、私の頭と心臓を鷲掴みにし、暫く寝ても覚めても姜維の事ばかり考えていて、切なくて息苦しくて参りました。 それまでは張飛が好きで好きで、次が親兄弟を殺され放浪を続けた馬超だったのに、 それ以降、2人をすっ飛ばしてダントツに姜維が好きになってしまいました。 三顧の礼以来、余りの切れ者ぶりが鼻について、どうにも好きになれなかった孔明も、姜維と出会ってから五丈原で命を落とすまでの、劉備の遺志を継ぐ為だけに命を削っていた頃の姿が好きになって、それ以前の孔明も何だか面白く思えて来たから不思議です。 その後、NHK-BSで放映された、中国中央電子台製作の、実写版大長編大河ドラマ「三国志」では、姜維の最期まできっちり描かれていて、涙が出そうでした。 |
姜維は、元々は魏の武将でした。 孔明が晩年、宿敵・魏の討伐を目指して行った第一次北伐の際、見事な采配で蜀軍を敗走させ、その才に惚れ込んだ孔明は、全軍挙げての計略を用いて彼を取り籠め、「自分の兵法を継ぐ者はお前以外には居ない」と、蜀に降る事を請い願います。 その熱意に心打たれた姜維は、孔明の配下になり、以後はひたすら孔明を敬慕し、その兵法の全てを引き継いで孔明を支えようとします。 しかし孔明は4年の永きに渡る北伐の末、志を果たせぬまま遠征先の五丈原で病没、蜀軍は撤退を余儀無くされてしまいます。 孔明亡き後、姜維は蜀軍の重鎮となり、孔明の遺志を継いで魏討伐の挙兵を要請しますが、孔明の後任の丞相に永らく出兵を押し止められ続け、15年後ようやく魏の内乱に乗じて出陣するものの、愚鈍な君主・劉禅と宦官によって腐敗する国内からの援護も無いまま、思うように戦果を挙げられない状態が続きます。 漢王朝の復興を目指した劉備・関羽・張飛の「桃園の誓い」に始まる、数多の人々の願いを引き継いだ最後の武将・姜維。 孔明亡き後、姜維は出兵を長い間止められてしまいますが、彼は相当頭が良かった筈なので、ならば武官から文官へと転身して、内政改革に努めれば良かったのに、と考える事も出来ますが、きっと姜維は、どちらかというとやはり、武将として戦の中で活躍してこそ能力を発揮できるタイプだったのではないかと思うのです。 孔明ですらそうだったのですから、孔明亡き後の姜維にとっては、成都に居て机上で策を巡らせるよりは、前線に出て戦う事が、最良の選択肢だったのかも知れません。 酒色に耽る君主と、それに阿諛追従し内憂外患を見て見ぬ振りをする臣下たち。 |
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