轍(わだち)
ごろごろと
私の内を往く責めの車輪(くるま)
湿った胸に重いわだちを残して
しのび笑いしながら進んでゆく
かすかなる地響きが背骨に触れたとき
砕かれた自分の姿を一歩の未来に望みながら
細い闇の逃げ道におびえて立ちすくむ
こまぎれの脳が轢死していくたびに
夢は疲れて垂れ下がる
うなだれた足下に落日の影がしのび寄り
未来に背を向けて歩いている自分に気づく
針のように細い神経だけが
乾いたわだちの上に
糸のように弱い記憶を刺し込んでゆく
道は遙か
白く煙って
たそがれの白い霧のように
私を窒息させ始めている
★ホームへ★