人物紹介・茨木童子

茨木童子

 

茨木童子は、大江山の鬼・酒呑童子の一の子分として有名ですが、子分と言うよりは酒呑の右腕的存在、もしくはもう少し隷属関係の薄い、客分のような存在なのではないか、と私は考えています。何故なら、彼には酒呑とは直接関係のない伝説があるからです。

美女に変化(へんげ)して源頼光の郎等(所謂頼光四天王の一人)・渡辺綱を騙して連れ去ろうとして左腕を切り落とされ、後日、の養母に化けて、その腕を物忌み中のの館へ取り返しに来たのは有名な話。この時、茨木は養母の姿から鬼に戻って、館の屋根の破風を破って逃げた為、渡辺家の館にはその後、破風が作られなくなったとも言われています。

でもこの時点では大江山ではなく、愛宕山に住んでいたようで、を連れ去ろうとした時に、「我行く先は愛宕山ぞ」と言っています。この話には、大江山の酒呑童子の事は出て来ません。独立した伝説があるという事は、茨木がそれなりに力のある鬼だったという気がするので、酒呑の配下になったとしても、かなり特別な待遇を受けていたのではないか、と想像しています。

酒呑の配下になったのは、このとの一件の後の事となのか、それとも既に大江山に住んでいて、酒呑の指示で一時的に愛宕山に居たのかは検討の余地がありますが、何故、を連れ去ろうとしたのかという事を考えると(伝説の中では理由は明らかになっていません)、後に頼光たちに討たれる酒呑が、敵情視察の目的で茨木を捕まえさせようとしたのではないか、などと考える方が解り易い、というか面白い気がします。

(但し、此処に述べた私の見解は、あくまで漫画のストーリーを考える上でのものなので、純粋な学術的研究とは違った解釈をしている部分があるという事を御承知おき下さいませ)

ちなみに私は鬼と呼ばれた者たちは、蔑視され闇に葬られた人間たちの事だと考えているので、茨木も「正体は恐ろしい鬼の姿で、美女にも老婆にも変化する」というものではなく、「正体は綺麗な人間の男、変装の達人、特に女装が得意」という設定にしてあります。

で も変な趣味はなくて(笑)、普段は渋い身なりの、ろくに口もきかない眼光鋭い男で、後ろに立った者は問答無用でバッサリ斬る、とか、女子供でも情け無用で 殺す、とかいう冷酷な性格。にも関わらず、自分が認めた者、気に入った者は裏切らない、見捨てないという一面もある・・・という、かなりややこしいキャラ クターです。

源頼光藤原保昌四天王を引き連れて大江山の鬼を討ち果たした時、茨木と因縁の対決となり、激闘の末「細首を打たれた」と伝説にあります。この事から、女装するくらいだから(笑)結構小柄で華奢な身体だったのかとも思いましたが、と対等に渡り合うのだから、力は強かったんだろうなと思ったりしています。

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